今日の講話「剛柔一体 −身体で教えを学ぶ−」

 少林寺拳法の技には、突き蹴りなどの剛法や、投げ固めなどの柔法があります。他の武道では、「柔よく剛を制す」とか「剛よく柔を断つ」と言ったりしますが、少林寺拳法は「剛柔一体」です。剛法と柔法が一緒になることで、真の効果を発揮すると言うことですね。

 例えば、「送小手」という技がありますけれど。この技は、相手に手首をもたれて押し込まれたときに、守って投げてしまう技ですね。(道場では、実演しています)よく見てほしいのですけど、投げる前に手刀をいれていますね。投げて固めたあとには、蹴りを入れてます。投げ技(柔法)といいながら、実は剛法の要素も入っているのです。

 「送小手」は難しい技です。仮に当て身なしでやろうと思うと、本当に何年も修行しないとかかりません。しかし、先に当て身を入れてしまって、相手ががくっとなっている瞬間に投げたらどうでしょう。わりに簡単に投げられるんです。固めもそう。完璧に固められるようになるには高い技術が必要ですけれど、固めが不完全で、効かなかったら、蹴ってしまえばいいんです。こうして考えると、柔法単体でやるよりも、剛法をまぜたほうが効果的であると分かると思います。修行のなかで、自然に剛法と柔法をうまく組み合わせる方法を学んでいるんです。

 剛柔一体とは、反対のものをまぜて、より高いものをつくりだすという考え方です。すると、日常生活にもつながるということが分かるのではないでしょうか。ある意見とある意見が対立しています。それで、どっちか片方をとって、片方をやっつける、というのは剛柔一体とはいえない。片方と片方と、両方まぜてもっと高いものをつくりだせないか。そう考えるのが剛柔一体ということです。私たちは、身体を動かしながら、そういう考え方を身につけているのです。

少林寺拳法のシンボルマーク「ソーエン」。反対のものが混ざりあい、調和している様子を表しています。

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