今日の講話「修行の心得」

私(支部長)には昔、剣道を修行している時期がありました。剣道の稽古は厳しかったですが、真剣な楽しさや、鍛えられる実感もあり、充実感がありました。しかし私は、剣道を継続することはできませんでした。その理由は、なかなか上達した実感が得られなかったことです。試合では、せいぜい2回戦までしか進めませんでした。がむしゃらに稽古をしても実力はつかず、どうすれば試合で勝てるようになるのか、全くわからなかったのです。結局私は、たった4年で挫折してしまいました。

その一方で、少林寺拳法の修行は27年も継続しています。なぜ、少林寺拳法はずっと続けることができたのでしょうか。もちろん、剣道がだめで少林寺拳法がよいというのではありません。剣道も素晴らしい武道です。しかし、少林寺拳法と剣道とでは、その修行の仕方に違いがあるのは事実です。今日は、少林寺拳法の修行の心得、というお話をします。

少林寺拳法の修行の心得は、8つあります。1つは、「修行目的の確立」です。少林寺拳法の修行は、頼れる自分になり、他者を助けられるようになること。そんな人になるには、試合で勝つ必要があるのか、というと、そんなことはありませんね。

2つは、修行の順序。少林寺拳法の修行には科目表を使います。科目表には修行の順序が示されていて、先に進めば上達したという実感が得られますね。実は、科目表のような上達の道標がはっきり示されている武道は、珍しいのです。

3つは、基本を学ぶこと。これは他武道やスポーツも同じです。

そして4つは、理を知ること。技の仕組みを知るということです。少林寺拳法の技は、体を鍛えなければできない、というものではありません。仕組みがわかれば、誰でもできます。だからこそ、面白いのです。そして、理は秘密ではありません。修行にとりくんでいるみんなに等しく教えます。もしかしたら、秘伝にしてもいいぐらいの技術もあると思うのですが、私も先生方から惜しみなく教えてもらいました。だから、皆さんにも惜しみなく、理を伝えるつもりでいます。

5つは、数をかけること。今、皆さんは呉地区大会に向けて、演武の練習をしていますが、これは、数をかけるいい機会となります。大会に出場するというのは、まさに修行の一環です。しっかり取り組んでください。

6つは、修行を偏らせないこと。剛法、柔法、どちらもバランスよく修行するということです。得意・不得意はあると思いますが、少林寺拳法は、得意に偏ることをよしとしません。剛法を修練することで、柔法が上達することがあります。その逆もまた然りです。初心のうちはわからないかもしれませんが、何年も継続すれば、それがわかる時がきます。

7つは、体力に応じて修行すること。苦しい修行では長続きしません。少林寺拳法の技法の習得には長い時間がかかり、支部長も、まだまだ修行中の身です。だからこそ、無理なく長く続けられるよう、稽古をすることが大切なのです。

8つは、永続して行うこと。永続とは、永遠に続ける、ということです。少林寺拳法の技は、100点を取って終わりというものではありません。100点の上があります。200点、300点の世界があります。その世界が見えてくると、もう面白くてたまらなくなる。今、道場に来ている皆さんも、何年も続けているメンバーが多いです。でも、10年継続している人はまだいませんね。もしも、10年、いや20年続けたら、200点、300点の世界が見えてくるはず。そして、もっとやりたくなるはずです。皆さんが、そのようになる日を、私は、心待ちにしています。

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