今日の講話「少林寺拳法に用いる理法」

理法というのは、いうなれば、一の力を、十にするためのコツです。少林寺拳法の技は、理法を用いて組みたてられているため、力の弱い人でも、大きな効果を発揮できるのです。さて、今日は少林寺拳法の理法を3つ紹介します。

1つ目は、「鈎手の理」です。例えば、相手に手首を握られたとき、握られた手首が自分から近く、相手から遠いほど、自分が有利になります。逆に、逃げられた手首が自分から遠く、相手に近いほど、自分が不利となります。ひっぱりあいの場面を想像すれば、感覚的にわかりますね。「鈎手」は、角度処理も重要な要素ですが、その本質は、自分に近く、相手から遠くするということです。相手に掴まれる瞬間、あるいは掴まれようとしているとき、「自分に近く、相手から遠く」を意識して鈎手守法を行いましょう。もっと楽に守れるようになるはずです。

2つ目は、「梃子の理」です。例えば、相手に手首を強く握られた時、握られた手首を動かすには腕力が必要です。しかし、握られた手首を支点にして、肘を動かすのならば腕力はいりません。これが梃子の理です。みなさんは、法形の練習のなかで、知らず知らずのうちに、梃子の理を活用しているはずです。握られたところを動かしてはいけません。握られたところから、より遠い箇所を動かしましょう。精確に行うには、かなりの熟達が必要です。意識して稽古してください。

3つ目は、「車の理」です。小学生のみなさんには、投げ技はほとんど伝授していませんが、中学生になり、有段者になれば、少林寺拳法の投げ技を習得することになります。少林寺拳法の投げ技は、一般的な格闘技の投げ技とは、本質的に異なります。ここに水筒があります。この水筒を倒そうとしたとき、もちあげて投げ落とす、とすれば腕力が必要ですね。一方、この水筒を斜めに傾けて転がして倒す。これなら指一本でもできます。傾けて、転がす。これが「車の理」の一例です。こういうやり方ですから、少林寺拳法の投げには力がいらないのです。

やみくもに稽古するのではなく、理を知り、数をかけること。そうすることで、凡人も達人に近づくことができるはず。本日も、ともに励みましょう!

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